私は会社に所属しているいわゆるインハウスデザイナーという存在ですが、世の中デザイナーといえばフリーランスだとか制作会社に所属するイメージが強いと思います。
インハウスデザイナーについてはマイナスのイメージも色々あるみたいですが、少なくとも私は割と満足しています。今回はその理由をいくつか紹介していきます。
安定したキャリアと収入
まずは安定した収入があることです。一企業の社員として雇用されるので、当然と言えば当然ですが大切なことです。フリーランスや契約ベースの仕事と比較して安定した収入と雇用が保証されます。
キャリアが上がれば給料も上がります。
私の周りでは、キャリアが上がるにつれて後輩育成の立場になって現場から離れる方もいれば、生涯現役が向いていると言わんばかりに50歳を過ぎて管理職に就きつつもバリバリ現場でデザインをしている方もいます。
今後はどうなるか分かりませんが退職金ももらえるし、新人のうちから月々安定した収入が得られるのが魅力です。
ブランドに深く関われる
インハウスデザイナーは、企業のブランドに長期的に関わることができ、そのブランドの成長と発展に寄与することができます。
自分が手掛けたデザインが企業の一貫したビジュアルアイデンティティとして定着していく様子を見ることができるのは大きなやりがいです。会社の顔として表に出るデザインが自分のものだとやはり嬉しくなります。
企業文化やビジネスの深い理解が得られる
企業に所属して働くことで、自社の文化やビジネスモデル、ターゲット顧客に対する理解が深まります。
これを理解していると、より的確で効果的なデザインを作る上で非常に役立ちます。
他部署の営業チームなどと接点を持つことで、ビジネス的な視点を知ることもでき、自分のスキルセットが広がります。
経験が少ないままフリーランスのデザイナーになってしまうと、営業的目線の考え方やマーケティングについての知識が不足しがちになります。
インハウスデザイナーだと他部署と関わり合うことで、より自社についての理解が得られる機会ができ、多角的な視点でデザインを作成することができるようになります。
継続的なスキルアップの機会
インハウスデザイナーとして働くと、企業が提供するトレーニングや教育プログラム、さらに社内プロジェクトを通じて、スキルを継続的に向上させる機会が得られます。しかも会社の予算で行ってくれるのもメリットです。
フリーランスだと勉強代を全部自腹で支払うことになりますが、そこを企業が負担してくれます。
定期的にデザインを行う機会が強制的に訪れるので、否が応でもスキルアップしていきます。どんなに怠け者でも自然と手は早くなっていきますよ。
また、社内の他部署との協力を通じて、デザイン以外の新しいスキルを習得することもできます。
私の場合は「デザイン全般はあなたでしょ」と、WEBデザイナーなのにチラシを作成したりプレゼン用のパネルを作成したり、時には接客もしたりと、デザイン以外でも重宝されたりします。
チームの一員としての働きやすさ
インハウスデザイナーは、たいてい企業内の他のデザイナーやマーケティング、製品開発チームと密に協力することが多いです。チームワークの中で、自分のアイデアを提案し、協力しながら一緒に目標を達成していくという働き方ができるのが魅力のひとつです。
それによって企業内の人間関係を深められるのとともに、各部署のエキスパートと働くことでサポート体制が整っている環境で働けるのもメリットと言えます。
個人ではとても契約してもらえないような大手の企業とタッグを組んで、そのチームの一員として仕事をできることも、インハウスデザイナーならではの魅力だと思います。
クリエイティブと戦略のバランスを学べる
インハウスデザイナーは、クリエイティブなデザインだけでなく、企業の戦略的目標を達成するためのデザインも求められます。これにより、クリエイティブとビジネス戦略のバランスを取る能力が養われ、キャリア全般において強力なスキルセットとなります。
個人的見解ですが、企業としての作品と、個人としての作品では個性を出す量が圧倒的に違うと思っています。
企業として出すキャラクターと、クリエイターとして自由に発想して出すキャラクターを比較すると、個人の方がより個性的なキャラクターが採用されると思いますが、企業としてはコンプラだとかSDGsだとか今の世の中色々あるのでどうしても安全に世に送り出せるキャラクターになります。その規制の中でいかに良い発想ができるかがインハウスデザイナーの腕の見せ所だと感じています。
色々並べましたが、まとめとしては個人では到底到達できなかった量の仕事をこの十何年間でこなすことにより、今の私のスキルがあると思うと、インハウスデザイナーという仕事も悪くないなと思うのであります。
そりゃフリーランスでガッツリ稼いでいる方を見るといいなーと思うこともありますが。その方たちはリスクを取ってその働き方を選んでいるわけで、その見返りとしての報酬ですよね。
インハウスデザイナーは社員なので、何かあったら上司や会社が責任を取ることになるわけで、それだけ安全な立場にいるのですからリスクは少ないと言えます。残業したら残業代も出ますしね。
私は今までインハウスデザイナーをしつつ、フリーランスとして副業もしてきているわけですが、やはり個人で請け負う仕事は責任感とか不安感とか全然非ではないです。
もちろん会社の仕事を手を抜いているわけではないですよ!困ったら周りに聞ける人がたくさんいる安心感が全然違うんですよね。
もし、デザイナー初心者さんがこのブログを見ているとしたら、いきなりフリーランスではなくまずはどこかの会社に所属して経験を積むことを私はお薦めしたいです。実力がついてきてからフリーランスになるのも遅くないですからね。