「フルーツバスケット」の主人公・本田透(ほんだ とおる)をご存知でしょうか?
私は高校生の時にこの作品に出合い、めちゃくちゃ影響されておりました。
透ちゃんはいつも無償の優しさを周囲に与えるキャラクターで、漫画を読んだことがある方はその姿に何度も心を打たれたと思います。
今日は、透ちゃんの行動と行動心理学の「返報性の原理」について考えてみたいと思います。
返報性の原理とは?
返報性の原理は、「人は誰かから何かを受け取ると、その恩を返したいと感じる」という心理です。
これは、人間関係を円滑にするための本能的な仕組みと言えます。
例えば、誰かが私たちに手助けしてくれたとき、自然と「何かお返しをしたい」と思うことがありますよね。それが返報性の原理です。
これは心理学の中でも特に強力な力を発揮する仕組みです。
例えば、友人が落ち込んでいる時に寄り添って話を聞いた後、その友人が後日、自分が困っている時に親身になって助けてくれる、というシチュエーション。これは、与えた優しさに対してお返しをしようとする返報性の原理の働きです。
また、ボランティア活動などで自分が他者に貢献した結果、後にその地域の人々から感謝され、支援を受けるようになること。これは社会全体に無償で貢献することが、思わぬ形で返ってくるという例です。
透の無償の優しさと返報性
透は、草摩(そうま)一族をはじめとした多くの人々に対して、見返りを求めずに優しさを与え続けます。彼女は自分の幸福を二の次にして、他者のために行動することが多いですよね。例えば、夾(きょう)や由希(ゆき)に対する彼女の思いやり深い行動は、返報性の原理に基づいて周囲の人々に変化をもたらします。
透と夾(きょう)の関係
透が夾に対して、彼の過去の痛みや苦しみを優しく受け入れ、理解しようと努める場面。夾は最初、透の好意に戸惑い、彼女を遠ざけようとしますが、次第にその優しさに心を開き、彼女を守りたいと思うようになります。ここで、夾の「守りたい」という感情が、透から受けた無償の優しさに対する返報性として現れます。
透と由希(ゆき)の関係
透が由希に対して、彼が家族や他人に心を閉ざしていたときも変わらず優しさを示し続けたことが、由希の心を徐々に開かせます。由希はその後、透を助けるために自分から行動するようになり、彼女を大切にしたいという気持ちが生まれます。由希が透に対して抱く「恩返しをしたい」という気持ちは、透からの優しさがきっかけです。
草摩一族との関係における返報性
透の無償の愛に触れた草摩一族のメンバーたちは、次第に彼女に心を開き始めます。特に夾や由希は、透に対して感謝の念を抱き、透の存在が、彼らにとって癒しや救いとなり、彼女を守りたいと強く感じるようになります。これはまさに返報性の原理が働いている一例です。透が見返りを求めずに優しさを与えたことで、彼らも彼女に対して恩返しをしたいという気持ちが生まれるのです。
返報性の原理を活かす力
透のように無償で優しさを与える行動は、周囲との関係を深める鍵になります。現実世界でも、私たちが他者に対して思いやりや感謝を示すことで、相手は自然と恩返しをしたいと感じ、人間関係が強くなっていきます。これは、返報性の原理が人間関係を育む強力なツールであることを示しています。
透から学べること
「フルーツバスケット」を読んでいると、透の姿を通じて私たちも学べることが多いと感じます。自分が周囲に優しさを与えることで、見返りを求めなくても良好な関係が築けるということです。透のように、思いやりを持って行動すれば、自然と返報性の力が働き、周りの人々との絆が深まるのではないでしょうか。