マーケティングとは「売ること」なのか?

WORK & THINK #01|FOUNDATIONS

マーケティングという言葉、仕事をしているとよく聞きます。

私もデザイナーという仕事をしているので、「この企画をどう見せるか」とか「どうしたらもっと参加してもらえるか」とか、マーケティングっぽいことを考える機会は結構あります。

でも改めて、

「マーケティングって何?」

と聞かれると、意外と説明するのが難しいんですよね。

広告を出すこと?
SNSで宣伝すること?
キャンペーンを考えること?
商品を売ること?

どれも間違いではないと思います。

ただ、色々勉強していくうちに、私はマーケティングを「どうやって売るか」だけで考えると、ちょっと狭いんじゃないかなと思うようになりました。

今回はWORK & THINKの最初の記事なので、まずはここから考えてみたいと思います。

「どう売る?」の前に考えること

例えば、近所に新しくカフェをオープンしたとします。

でも、思ったよりお客さんが来ない。

そうすると、

「Instagramをもっと更新した方がいいんじゃない?」

「クーポンを配ってみたら?」

「広告を出してみよう」

みたいな話になりがちです。

もちろん、それでお客さんが増えることもあると思います。

でも、そもそもなぜお客さんが来ていないんでしょう?

店の存在を知らない。

知っているけれど、どんな店なのかよく分からない。

行ってみたいけれど、営業時間が合わない。

近くにもっと入りやすい店がある。

そもそも今はカフェに行きたいと思っていない。

理由はいくらでも考えられます。

「知らない人」にクーポンを配ってもあまり意味がないですし、「行きたいけれど営業時間が合わない人」にInstagram広告をたくさん見せても解決しません。

こう考えると、

「どうやって売る?」を考える前に、「なぜ選ばれていない?」を考えないといけない。

ここが結構大事なんじゃないかと思います。

マーケティング=広告ではない

マーケティングについて調べると、かなり広い概念だということが分かります。

American Marketing Association(AMA)では、マーケティングを、顧客や社会にとって価値のあるものをつくり、伝え、届け、交換するための活動やプロセスとして定義しています。

つまり広告だけではありません。

商品を考えることもそうですし、価格を決めることも、どう届けるかを考えることもそう。

知ってもらって、価値を感じてもらって、選んでもらうところまで全部つながっています。

私はこれをもっとざっくり、

01 UNDERSTAND人を理解する
02 VALUE価値を考える
03 DELIVER届ける
04 CHOICE選ばれる

くらいで考えると分かりやすいなと思っています。

「良いものだから売れる」とも限らない

これも仕事をしているとよく感じます。

作る側は当然、その商品や企画のことをよく知っています。

時間もかけています。

だから、

「これは便利だから使ってくれるはず」

「こんなにお得なんだから参加するでしょ」

と思ってしまいがちです。

でも、ユーザー側からすると全然違うんですよね。

便利な機能があっても、使い方が分からなければ使わない。

面白いイベントでも、存在を知らなければ参加できない。

お得なキャンペーンでも、説明が長くて面倒そうだったら離脱するかもしれない。

つまり、

「価値がある」
「価値が伝わる」
「選ばれる」

は全部別です。

作る側にいると、この3つをつい一緒にしてしまいます。

人はいつも合理的に選ぶわけではない

さらに面白いのがここです。

私たちは商品を選ぶとき、毎回すべての商品を比較して、一番合理的なものを計算して選んでいるわけではありません。

「いつもこれだから」

「見たことがあるから」

「なんとなく安心だから」

「みんな使っているから」

「一番上に出てきたから」

みたいな理由でも普通に選びます。

そして、見たものを全部覚えているわけでもない。

目の前に表示されていても、気づかないことすらあります。

こういうことを知っていくと、マーケティングと心理学ってかなり近いんだなと思うんですよね。

そしてデザインも同じです。

デザインも、人を理解するところから始まる

デザインをしていると、

「ここをもっと目立たせて」

「説明を追加して」

「ボタンをもっと大きくして」

という話になることがあります。

もちろん本当にそれが必要なこともあります。

でも、最近私はその前に、

「この画面を見ている人は、今何をしようとしているんだろう?」

と考えることの方が大事なんじゃないかなと思っています。

何を探しているのか。

何を知っているのか。

どこで迷うのか。

何なら説明しなくても分かるのか。

そこを考えてから作るのと、作り手が伝えたいものを全部載せるのとでは、出来上がるものがかなり変わります。

だからこのWORK & THINKでは、マーケティングだけではなく、

心理学だったり、行動科学だったり、UXだったり、デザインだったり。

時にはデータの読み方や、組織の意思決定についても考えていこうと思っています。

一見バラバラに見えますが、私の中では全部、

「人はどう考えて、どう選んで、どう動くんだろう?」

という一つの疑問につながっています。

ちなみに、ユーザーだけではありません。

企画を考えている人も、デザインしている人も、会議で判断している人も人間です。

ユーザーには思い込みがあるのに、作っている私たちにはない、なんてことはないんですよね。

このあたりも今後掘り下げていきたいと思います。

DESIGNER’S QUESTION

DESIGNER’S QUESTION
01

「私たちは何を見せたい?」 ではなく、 「相手は何を必要としている?」

NEXT THINK

人を理解して、価値を考えて、選ばれる状態をつくる。
そう考えると、できることはいくらでもあります。

でも、時間も予算も人も有限です。

NEXT THINK

全部できないとしたら、
何を選び、何を捨てる?

#02
戦略とは
「何をするか」より
「何をしないか」